月に2回、夕刊に掲載される、歌人 穂村 弘 さんの『蛸足ノート』というエッセイを読むのを、楽しみに
しています。 先日の「憧れのネーミング」という回で、『バレーボールの「一人時間差攻撃」に憧れてい
た。」と書いていました。 どういう技か正確に把握できていないけど、ネーミングに惹かれたのだとか。
中学時代バレー部だった富太郎の、バレー人生最大かつ、ほぼ唯一のビックプレイが、自分の中学が会場
だった大会で、劣勢の試合で相手のエースのスパイクをピシャリとブロック。背は低かったけどジャンプ力
はありました。 会場大盛り上がり。 次の相手の攻撃は、おとりの選手がアタックの態勢に入って、後ろ
からエースが打ってくる「時間差攻撃」。 富太郎は、相手はエースしか打ってこないと思ったので、エー
スに合わせてブロックに行き、ドンピシャ。 だったのですが、拾われて帰ってきたチャンスボールを、
とべ君が吹かして、大ホームラン。 会場は歓声からため息に。 陸上部のエース おけい に言われました。
「バレー部の試合が一番面白い。・・・でも、勝てないよな。」 ハルウララ状態だったのです。
で、「一人時間差攻撃」というのは、アタッカーがAクイックに入って、ジャンプをするふりだけして、
一拍置いて、相手のブロッカーが釣られて飛んで、落ちてきたところで打つという、ミュンヘン五輪で金を
取った190㎝トリオ、大古、森田、横田の一人、森田淳悟 選手の編み出した得意技でした。 穂村さんも
富太郎と同世代なので、『ミュンヘンへの道』を一生懸命観ていたのではないでしょうか。
思えば、昔はよく使われていたけれど、最近は「聞かないなあ」という 言葉 がいろいろとありそうです。
〇 スポーツ系
野球で最近聞かないのは、『ドロップ』。 アナウンサーは「縦に割れるカーブ」というような言い方を
しますが、「カーブ」は横だろうと、突っ込みたくなります。 戦前の名投手、大リーガーもきりきり舞い
させた 沢村栄治 投手の投げる球は、『懸河(けんが)のドロップ』と呼ばれていました。 響きは知って
いたのですが、「懸河」の意味が判らなかったので調べたら、「傾斜が急で、水が滝を落ちるように速く
流れる川」のことだそうです。 なんと文学的な。 最近流行りの「スイーパー」とは、ちょと違う。
今年「ノックォン」が「ノックフォワード」に用語変更があったラグビー。 もう、「ノックォン、帝京
ボール」という ものまね(?)も聞けないのですね。 ここ何大会か、世界の強豪に勝つこともあったり
して、2027年のワールドカップも大変楽しみなのですが、2000年くらいまでは、100点差ゲームで負ける
なんてこともありました。 スクラムはことごとく押し込まれていたし。 そんな時代の日本チームの戦術
で、耳に残っているのが『PからGO』。 笛が鳴って、日本ボールだと、相手の防御態勢が整わないうち
に、すぐに攻撃を仕掛ける。 いわば、弱者の兵法だったのでしょうか。 ただ『PからGO』には、タッ
チに蹴り出したり、ペナルティーゴールで3点を狙わずに、あくまでもトライを取りに攻め続けるという
攻撃的な戦術でもあったよう。 それが前々回大会 南アフリカ戦 の逆転勝利に繋がったとも言えそうです。
〇 ビジネス・ホビー系
今はやりの1980年代の頃、職場では盛んに『QC活動』というものが行われていました。 『QC』
は「QUALITY CONTROL(品質管理)」で、現場の職員が知恵を出し合い、業務改善を行うという活動。
今だと、AIで「答え一発」みたいになっていますが、当時は、とにかく時間と労力をかけていました。
(実際はリーダーが一人で苦労をしていた?) まず、係ごとに活動の成果を発表し、支店の代表を決め、
地区大会を勝ち抜き、本店で全国大会。 更には企業同士の大会もあったらしいです。 富太郎は縁なし。
生産性本部に研修に行かせて貰ったときも、「生産管理」の講義で『QC』について教わったのですが、
年間最初の試験で「QC7つ道具を書け」という問題が出て、富太郎(はじめ多くの生徒)撃沈。 ちなみ
に答えは「パレート図」「特性要因図」「ヒストグラム」「グラフ」「チェックシート」「散布図」「管理
図」。 今でも講義に『QC』というのはあるのでしょうか。 当然、富太郎は追試でした。 自業自得。
やはり、最近あまり見なく(聞かなく)なったのが『CQ』のハム無線。 「不特定の無線者に対する
呼びかけ」『CQ CQ』は、アマチュア無線界で「世界統一」だそうです。 昔は、庭に大きなアンテナ
を立てているお家を時々見かけましたが、最近はどうでしょう。 気が付かないだけかな。 『CQ』と
どこまで関係があるのか(あるいは無いのか)は判りませんが、『モールス・信号』も目にしなくなった
気がします。 短点が「トン」、長点が「ツー」。 と思っていたら、♪「トントントン ツーツーツー
トントントン(・・・ ーーー ・・・)」 『はい よろこんで』(こっちのけんと)のモールス・信号
って『SOS』だったんですね。 なんか、世の中に『SOS』があふれているのって、悲しいなぁ。
〇 エンタメ系
社会人になってしばらくは、土曜日も昼まで仕事をしていました。 いわゆる『半ドン』。 いわれは、
オランダ語の日曜日を表す「Zondag」とか、明治時代、正午に空砲をドンと撃っていたからとか、諸説ある
ようですが、その後「週休二日」が普及して、全く聞かない言葉に。
まだ『半ドン』が生きていた1970年代、ラジオとテレビで大変人気だったのが『欽ドン!』。
ニッポン放送で、先にやっていたラジオが「欽ちゃんのドンといってみよう!」(の略)で、それを受けての
テレビ版が、フジテレビの「欽ちゃんのドンとやってみよう!」。 基本は、視聴者からのハガキでの投稿
を読み上げ、あるいはコントにするというスタイルで、「バカ受け」「やや受け」「どっちらけ」とランク
付けがされて、賞金だか賞品をもらえたようです。 (筆)無精を通り越して、ものぐさ富太郎だったので、
応募経験はありません。 でも「番組特製オリジナルステッカー」的なものは、ちょっと欲しかったです。
インターネットや携帯電話、メールが普及したせいか、あまりハガキでの「お便りコーナー」というのは
聞かないような。 辛うじて「ラジオネーム」というのは、残っているか。 同様に聞かなくなったのが、
「電話リクエスト(電リク)」。 電話オペレーターの人員確保や、製作費の関係で2010年代以降、下火
なのだそうです。 放送中に後ろで電話の呼び出し音や、オペレーターの人たちの応答会話が聞こえる臨場
感で、番組が盛り上がっていたような気もしますが。 最近は、当時のような純粋な「ベストテン番組」
というのも、見当たりません。 富太郎自身、「レコード大賞」や「紅白」すら視ないものなぁ。
大学通りを歩いていたら、焚火の匂いがしました。 昨今、CO2問題とか火災の危険性とかで、「ぼっち
キャンプ」くらいでしか、焚火にはお目にかかりませんが、懐かしい かほり でしたよ。
ゴルフスイングが、「明治の大砲」に拍車が
架かってきた、体ガチガチの 富太郎
(体重移動が上手くできず、フィニッシュで後ろ足に
体重が残ってしまうスイングのことを言います。
明治の大砲には車輪がついていて、発砲したときに
反動で後ろに下がることから、例えられたようです。
はたして今でも「明治の大砲」というのでしょうか。
明治どころか「昭和も遠くなりにけり」の今日この頃。
フォト/『ばかうけ』 栗山米菓(新潟)
我が家で(普段)食べているお煎餅が、こちら。
奥が常備しており、色々な味も出ているようですが、
定番の『青のり しょうゆ味』、ほぼ一択。
会社のHPによれば、1990年に発売された商品で、
もう35年。 かつては、キセルを咥えた農家のおじ
さんのイラストだった気がしますが、いつからか、
商品キャラクターの「パリン」と「ポリン」に。
この『ばかうけ』というネーミングは、新潟の方言で
『ばか』は「とても」「すごく」という意味で、
「すごいヒット商品になれば、という思いから。」
とのことですが、『欽ドン』の影響もあったのでは
ないでしょうか。 と、いつもの勝手な想像です。





