富太郎の日常95 『伊坂幸太郎 私の3冊』
結果はともかく、試験が終わって「読書三昧」の富太郎です。
前回、試験後に読んだ本の中の『伊坂幸太郎』作品は、年金生活者富太郎が久しぶりに買った単行本
でした。今回のテーマは『伊坂幸太郎』です。氏は、東北大学を出て、現在も仙台在住らしく、仙台を
舞台にした作品が多いようです。と言っても、そんなにたくさん読んだわけではないのですが・・・。
〇 「ゴールデンスランバー」 2007年11月刊 舞台:仙台
(ゴールデンスランバーは、ビートルズの楽曲名)
最初に読んだ10年以上前、「首相暗殺」等、ありえない話だと思っていたのに、まさか・・・。
小説だからドキドキ、ハラハラするのであり、「許せない」を通り越して、「日本、大丈夫か?」とも。
この作品の主人公は、謀略で「濡れ衣」を意識的に着せられたわけで、いかに生き延びるか。「逃亡者」
的なお話でした。そこは色々な協力者に助けられ、最後は、おっとネタバレはいけません。
チラッと話すと、今は結婚している学生時代の「元カノ」にも助けられて、逃亡用に草っ原に放置された
自動車を走れるように(バッテリー交換だったかな)して逃がしてもらったのだけれど、この場面を読んだ
ときに、単身赴任中あまりに車を動かさず、久しぶりの始動したら「ボン」と煙が出てエンジンが壊れ、
ディーラーに、「ガソリンが腐っていた」と言われたことのある(これも嘘くさいけど)富太郎は、
「絶対に無理」と本に向かって突っ込んだ記憶があります。 閑話休題、最後にショッピングセンターか
なにかのエレベーターの中で、元カノが小学生の娘に、主人公の手に『たいへんよくできました』の
スタンプを押させて、メッセージを伝えるという場面が印象的でした。
また、世間では「犯人(主人公)死亡」と報道されている中、まだ警察に見張られている両親に対し、
子どもの頃の父親の口癖であった『痴漢は死ね!』という手紙を送り、嫌がらせに見せかけて、自分の
無事を知らせる場面も、主人公の両親と一緒に泣きました。
でも、この後、主人公はどうやって生きていくのだろう。結局富太郎には、真犯人も、事件の背景も
分からず、何か、今一つ、モヤモヤの残った作品でした。
〇 「アイネクライネナハトムジーク」 2014年6月刊 舞台:仙台
(アイネクライネナハトムジークは、モーツァルトの作曲したセレナード「ある小さな夜の曲」の意)
『連作短編集』というらしいです。登場人物たちがちょっとずつ繋がっていて、しかも時間が10年くらい
往ったり来たりします。 で、「えっ」「あっ」と思っているうちに、「そうだったのか」で終わります。
その橋渡しをするのが、『(富太郎も何ん度も通った)仙台駅前のペデストリアンデッキ』であったり
『日本人初のボクシングヘビー級チャンピオン』であったり、はたまた『こちらがどなたの娘さんか、
ご存じでしゃべっているんですか? あなたが心配で・・・』という必殺のセリフであったり。
そして、『出会いなんてどうだっていい。後で自分の幸運に感謝できるのが一番だ。』 おっしゃる通り。
何だかわからないけれど、幸せな気分になれる一冊。
〇 「マイクロスパイ・アンサンプル」 2022年4月刊 舞台:福島県猪苗代湖
(2015年から行われている猪苗代湖音楽フェス「オハラ☆ブレイク」で配布されていた冊子を
連作小説として一冊にまとめた本。 舞台が仙台でないのは、そのせい。)
試験前にも関わらず、新聞広告の『どこかの誰かが、幸せでありますように。』のキャッチコピーに
ひかれて買ってしまった単行本。さすがに読むのは試験後まで我慢しましたが、字が大きくて「年寄りには
有難い。」 この本も、1話1話(1年1年)別々の話で、フェスの開催回数と、時間進行が重なっている
のですが、何年か前のエピソードか、何年か後にちゃんとつながっている。かつ、現実世界と、人間界とは
別の世界の並行して進む2つのお話も、ちゃんとつながっている。 まさに、伊坂ワールド。
笑ったのが、キーマンとなる課長が、日本人初のヘビー級タイトルマッチをみて興奮して、腕を脱臼する
くだり。「アイネクライネナハトムジーク」ともつながっていました。
『見えない力に助けられる。』って、確かにあるよなぁと富太郎も思います。良かった、良かった。
さて、元総理暗殺であったり、「ゴールデンスランバー」の映画の元カノ役が竹内結子さんであったり、
「アイネクライネナハトムジーク」の映画の主人公役が三浦春馬さんであったりと、ちょっと伊坂作品には
アゲインストな状況かもしれませんが、富太郎など足元にも及ばない伊坂ファンが沢山いるはずですので、
また『幸せ(な気持ち)』『幸運』を運んでいただきたいと思います。 頑張れ、伊坂幸太郎!(敬称略)
試験問題を丁寧に見直すうちに「何故これを?」
と今年も愕然とする 富太郎
(昔、芹沢信夫プロのゴルフ番組で「ればたら」
って打ち直しがあったなぁ。)
フォト/「マイクロスパイ・アンサンブル」
の表紙。
伊坂作品をもう一作と、現在
「ガソリン生活(朝日文庫)」を読書中。
大人の機関車トーマス車版のミステリー?
『緑デミ』君が狂言回しになっています。
(緑色のマツダ・デミオ)