小規模企業の皆様 へ
去年からのコロナ禍の影響で、「月々のお金のやりくりで精一杯」という経営者の方も
多いかと思われますが、給付金補助金だけでは企業維持に限界を感じている方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
「コロナ後」のために、今何ができるか。何をしなければならないかについてのヒントや対策の引き出しを、公庫のHPやJ-net21等で私も勉強しながら、忙しい皆様に代わって情報収集し、還元していきたいと思っています。
皆様の経営改善に、少しでもお役に立てれば幸いです。
「コロナに、負けてたまるか ! 」 富太郎(認定支援機関に登録)
- 第11回 経費削減策 (2)
- 前回は、「経費削減策」の総論について、お話ししました。
今回は、各論です。
まずは、「経費削減」をどのように進めるか、です。
経費削減でも、やはりPDCAサイクルが重要です。
P 「Plan」 現状の課題(コスト)の把握と、削減プランの作成
・ 削減目標(項目ごとの金額、期限)と優先順位の設定
・ 具体的な行動プランへの落とし込み
D 「Do」 プランの実施
C 「Check」 効果の分析、検証
・ 項目ごとに、削減の実績、計画との差異を把握
・ 期間を決めて、定期的に行う
・ 「計画」と「実績」の対比 ⇒ 『見える化』
A 「Action」 結果をもとに、改善策の再策定(Plan)
⇒ Do ⇒ Check ⇒ Action
と、サイクルを回して行きます。
まずは、「どの業務にどの程度のコストがかかっているのか」を把握し、
「そのコストは適正であるか」、「止められないか」、「減らせないか」、
「変えられないか」という視点で、検討してみましょう。
インターネットには、いろいろなコンサルタントの先生が
『経費削減策』を上げています。集約してみると、
大きく3つに分類されそうです。
(1) 比較的取り組みやすい項目 (日々かかるコストの削減)
① 消耗品関係
・例 コピー、印刷費 → 両面印刷、白黒印刷、不要紙の裏面利用
ペーパーレス化、メンテナンス契約の見直し
不要な雑誌・新聞の定期購読解約
② 水道・光熱・通信費関係
・例 節電、節水 → エアコンの設定温度、未使用スペースの消灯
インターネット → プロバイダの変更
③ 福利厚生費関係
・例 保険料 → 補償内容の検討、コスパ比較
★ これらは、簡単に取り組めますが、金額換算では、それほど大きな
経費削減とはならないケースが多いです。
手間やコストをしっかりと意識して取り組みましょう。
(2) 広告宣伝費・販売促進費・交際費
〇 「2割の要素が、全体の8割を生み出している」という
パレートの法則なる「経験則」が、あるんだそうです。
例えると、『8割の売上は、2割の顧客で占めている』ことになります。
販促等は、経営資源をこの2割に集中すると効果が上がるということに。
ここは、経費の「削減」ではなく、
「配分の見直し」という観点で取り組みましょう。
★ 無計画な一律カットは、必要な経費も削減することになり、
逆に、売上低下を招くという悪循環に陥るリスクが発生します。
「宣伝広告費」や「販促費」は、しっかりと
効果測定をすることが、経費削減の大前提です。
売上に貢献しない、無意味な交際費は、当然カットです。
(3) 大きな効果が見込める費用項目 ( = 金額の大きな費用項目)
① 人件費 (販売管理費のうち、大きな割合を占める)
〇 適正人員でのオペレーション
→ パート・アルバイトのシフト管理
〇 業務の効率化、最適化、マニュアル化(業務の「見える化」)
⇒ どの業務に「効率化」できる余地があるかを知ることが大切
→ 教育コストの削減、残業代・人員減、
正社員がより重要な業務(付加価値の高い仕事)に時間を使える
★ (中長期的には、従業員にもメリットはありますが)
コスト削減に伴う「士気低下」には注意が必要です。
前にも書きましたが、経営責任の履行として、
「役員報酬の削減」を先行して行うべきです。
② 家賃
〇 賃料の引き下げ
→ 値下げ交渉
分散している事務所や倉庫を集約
レイアウトの見直しによる借用スペースの縮小、
余剰部分の解約
より安い物件への移転
そもそも、その事務所・倉庫は必要?
⇒ 不良在庫や、長期不動在庫を処分することにより、
余剰スペースを生めます。
また、管理費の削減にもつながります。
★ 注意が必要なのは、引っ越し等には費用がかかるということです。
「引っ越し貧乏」という言葉があるように、計画的に実行しないと
かえって費用がかかってしまうリスクがあります。
以上のほかにも、『閑散期(曜日)に休業日を設ける』ことにより、
ランニングコストを削減する事業所の記事も、目にするようになりました。
おわりに
コロナ禍で資金繰りがひっ迫していれば、「給付金」や「特別融資」で
資金繰りを回して行くことは、企業維持にとって有益です。
ただ、輸血だけでは病気の治療にはならないように、
補填資金の投入だけでは、根本的な『解決』にはならないと考え、
「経営改善のレシピ」を、投稿させていただきました。
家族や従業員のためにも、企業一丸となって「知恵」を出し、
『経営改善』に取り組んでいただきたいと思います。
提供させていただいた情報が、
改善を「考える」お役に立てば、幸いです。
以上、富太郎でした。
- 第10回 経費削減策 (1)
- 利益を増やすための方策として、これまで「売上増加策」、
「原価率低減策」についてみてきました。
今回から、「経費削減策」です。
今回は、『総論』的な考え方について、ご説明します。
『損益分岐点売上高』の式に、仮の数字を当てはめて考えてみましょう。
事例
売上1,000万円 - 原価800万円 - 経費200万円 = 利益 ± 0 円
このケース、損益分岐点売上高は、1,000万円。原価率は80%です。
同じ事例で、経費を10万円削減出来たら、利益はどうなるでしょうか。
売上 1,000万円 - 原価800万円 - 経費190万円 = 利益10万円
利益が、経費を減らした分だけ、10万円増えました。
では、利益を10万円増やすためには、原価率、経費が同じだとした場合、
売上をいくら増やす必要があるでしょうか。
売上 Y - ( Y × 80% ) - 200万円 = 利益10万円
Y = 1,050万円 ⇒ 売上を50万円増やす必要があります。
このように、「経費」は減らせば、減らした分だけ『利益』を増やします。
ただ、注意が必要なのは、売上の増加と違い、経費の削減には、限界が
あるということです。どうしても必要な経費は存在します。
また、経費削減のために、別のコストが増えてしまったのでは、
効果が減じられ、本末転倒になりかねません。
2つめのポイント。
個人企業や小規模企業では、経費の計算にあたり、
事業費と個人の生活費を一体で考える必要があるということです。
例えば、代表者の報酬を削って、企業の損益計算上は利益を出しても、
個人の生活費が足りずに、会社から代表者個人への「貸付金」等として、
資金が流れては、資金繰り(企業維持)という観点では、意味がありません。
個人でいえば、生活費やローンの返済資金まで視野に入れて、
売上・経費・利益を考えなければ、資金繰りは回っていきません。
従って、「経費の削減」を考える場合、借入の月々の返済元金や、
個人の生活費も、削減の対象として検討していくべきだと考えます。
3つめのポイントは、「どこから手を付けるか」です。
まずは、「すぐにできるところ」から。
今日にでも始められることは、すぐにやりましょう。利益に直結します。
次に手を付けるべきは、
『大きな効果が見込める費用項目』です。
金額の大きな費用ほど、削減効果が期待できます。
とはいうものの、
「実現可能性」や「手間、コスト」も考慮する必要があります。
『経費削減』は、「利益を増やすための手段」であって、
削減そのものが「目的」ではないからです。
次回は、具体的な「経費削減策」の進め方について、
ご説明したいと思います。
以上、富太郎でした。
- 第9回 原価率低減策(2) 対外策
- 『原価率の削減策』について、ご説明しています。
前回は、「内部での削減策」についてでしたが、
今回は、「対外部による削減策」です。
対外部は、仕入先や外注先等との「価格交渉」「条件交渉」が
必要なことが多いため、「内部での削減策」に比べ難しい面があり、
効果に結び付くまでに、時間もかかります。
ただ、利益を増やすためには、手を付けないわけにはいかない分野です。
順番に見ていきましょう。
◎ 条件交渉
⇒ 販売額の大きな商品から、順に「単価」と「仕入れロット」等の
条件について検討していきます。
〇 相手のメリットとの抱き合わせによる、仕入・外注単価の引き下げ
・ 例えば「支払いサイトの短縮」「納期・納品方法の見直し」等。
〇 相見積もり
・ 価格の比較により、仕入れ価格を引き下げます。
・ 仕入先、外注先は、定期的に見直しましょう。
〇 大量一括仕入れ
・ 小口仕入先を集約し、集中購買により価格交渉をします。
〇 新規取引先(仕入先)の開拓
・ 現在の取扱商品と同等の品質を有する低価格な代替商品を
提供できる仕入先を開拓します。
◎ 仕入先・外注先の集約、分散、取引中止
〇 受注内容に沿った、仕入先、外注先の使い分け
・ コスト、設備、技術力等により「評価発注基準」を明確にします。
〇 内製化、自社対応
・ (前回「対内策」でも触れましたが)コスト比較のうえ、
内部でできるものは、内部でやりましょう。
注.同じコストなら、外製化したほうが「損益分岐点」は、
下がります(固定費の変動費化)。
当然、内製可能商品の販売を優先します。
〇 共同化
・ 共同配送、共同物流により、配送等の効率化を図ります。
★ これらの対策は、当然に「取引先」「仕入先」も
検討しているわけで、逆に取引を減らされたり、
切られたりするリスクもあるわけです。
ただ、このピンチを自社の『強み』に磨きをかけて、
相手に評価してもらえれば、『機会』として業績を
伸ばせるチャンスにもなるので、「攻守」両面で、しっかりと
検討しましょう。
最後に、診断の実習で提案した「改善策」を1つ。
事例は、地方都市のビジネスホテル。
交通網の発達と、経費削減で出張者が減少して売上が低下した状況を、
どう立て直すか?、という事例です。
「経費を徹底的に削減する」「遊休不動産(駐車場の土地の一部)を売却」
等は当然にやるとして、空き室があっても、維持費はかかるので、
やはり『売上』を上げなければ、利益は増えていかない。
利益を上げるためには(前回までやりましたが)、
『単価を上げる』『来客数を増やす』のいずれかが必要。
ただ、当然周囲の同業者との競争関係があるので、「単価」は上げにくい。
で、考え付いたのが、地元の女子大生向けの「学生会館」として、
いくつかのフロアーを、「客室」から「女子学生の寮」として専用フロア
にするというものです。
メリットは、
・ もともと空き室なので、(多少単価は下げても)確実に売上は増える。
・ 強みである「優秀な女性スタッフ中心(女子学生の安心感)」ゃ、
「大型浴場施設」等が生かせる。
・ ホテルの、セキュリティーの高さ(学生、親へ)をアピールできる。
・ 男性サラリーマンへの話題性。リピーター化。
・ 業種転換等への『補助金獲得』の可能性。
実際には、いろいろな課題もあったのですが、知恵を絞ることによって、
改善の可能性は広がる、と思える事例です。
なお、経営改善を「強み」「弱み」「機会」「脅威」を明確にして考える、
『SWOT分析』という手法が、有効だと思います。
(SWOT分析については、また別の機会に。)
次回は、「経費の削減策」について考えたいと思います。
以上、富太郎でした。
- 第8回 原価率低減策(1) 対内策
- 今回から、原価率の削減策をご説明します。
前にもご説明したように、利益を増やすためには、
「売上を上げる」「原価率を下げる」「経費を削減する」
この3つの要素しかないことが、『損益分岐点売上高』の公式から
分かります。
ご承知のように、原価率は、「原価(変動費)」を「売上」で
割ったものです。
従って、原価率を下げるには、前回までお話した「売上を上げる」か、
今回からお話しする「原価を下げる」かによって、可能になります。
そして、原価を削減する方向性は、
(1) 内部だけで完結できる削減策
と
(2) 外部(仕入先、外注先等)との交渉が必要となる削減策
の2方向に分けて考えることができそうです。
まずは、取り掛かりやすい「内部削減策」から考えていきましょう。
① 無駄の削減
⇒ 小さなことまで、徹底して行うことが大切です。 例えば
〇 売れ残りの防止、売れ残りが出てしまった場合の対策
・ 緻密な販売予測のもとに、適正な仕入れを行う
→ ②により類似商品の売れ行きや、利用者の嗜好を把握する
〇 廃棄ロスの削減
・ 日々の材料調達と使用量、在庫の把握
→ ②の販売データから、使用量を標準化する
・ 受注数が少なく、利益率の低い商品の販売を中止
〇 光熱費、広告宣伝費、賃借料等の費用対効果をチェック
〇 「過剰品質」がないかチェック
→ 品質を価格に反映できているか?
② データの検証・基準の設定
⇒ 『大きなところ(「金額の大きなもの」「使用料が多いもの」)』
を中心に、『定期的』に見直します。
⇒ 原価 = 数量 × 単価 なので
「数量」と「価格」を分けて考える必要があります。
〇 データの活用
→ 商品ごとの利益率、回転率、在庫数を定期的にチェック
・ 販売強化商品の選定
・ 利益率の高い商品の仕入れ
・ 売れ筋外、利益率の低い商品の削減による、売れ残り回避
・ パート・アルバイトのシフト管理による、
流動費部分の人件費削減
〇 基準の設定
・ 商品別の利益管理
・ 在庫管理(による廃棄ロス削減)
→ 仕入量の最適化
・ 値引き処分基準の策定
③ 内製化、自社対応
⇒ 内製、外製どちらが原価率として「安く上がるか」検討します。
・ 外部に委託している費用(清掃費等)の見直し、人件費との比較
・ 受発注、配送業務の見直し
・ 内製可能商品の販売強化
等々を、自社で対応可能なところから、スピード感を持って、
従業員さんにも『コスト意識』を持たせながら、進めてください。
次回は、(2) 外部(仕入先、外注先等)との交渉が必要となる削減策
について、ご説明します。
以上、富太郎でした。
- 第7回 売り上げ増加策(5)
- 利益を出すための「売上増加策」について、
ご説明させていただいております。
今回は、『購入頻度を高めるには』です。
アプローチ対象は、『既存のお客さん』です。
既存のお客さんに、
① 「同じもの」を繰り返し買って(発注して)もらい、
あるいは、
② 「違うもの(新商品、関連商品)」を買って(発注して)もらい、
リピート購入を増やし、売上増加につなげます。
まず、①、②共通事項としては、以下が考えられます。
◎ お客さんに「思い出してもらう」ための継続的コミュニケーション
⇒ 「また買おう」「もう1回買おう」「買い換えよう」という、
購入のタイミング(きっかけ)、仕掛けづくり
〇 スマホへのお知らせメール、クーポンの配布
〇 ニュースレターによる情報発信
・できれば、その人ピンポイントにカスタマイズされた情報で。
〇 礼状(サンキューレター)、誕生日カード(メール)
→ 留意点は、
・ 即効性はないので、続けることが大事です
・ 再購入のメリットをしっかりと伝えます
・ 大資本と同じやり方では太刀打ちできないので、
工夫を凝らして、「顧客に役立つ情報」を発信する
「その都度文言を変える」「一言手書きで添える」
◎ 一度購入してもらったお客さんの『困った』を解消する
● 買いに行きたいけど行けない(時間的や物理的制約)
● (インターネット等)注文のやり方が、わからない。面倒
● 欲しいものが、置いていない
⇒ 顧客情報の収集、データ分析、可能な対応→隘路の解消
〇 御用聞き(訪問、電話、メール)、配達、
お取り寄せ・お取り置き
〇 営業日、営業時間の見直し (季節等に合わせ、柔軟に)
→ 経営者側の都合、業界・同業者の慣習ではなく、
『顧客ニーズ』に合わせることが大事
(ただし、法令等違反は、逆効果です。)
* 第4回で、和菓子屋さんに、早朝営業を提案したお話を
しましたが、コロナの関係で「ディナータイムの繰り上げ」
「朝からフレンチのフルコース」等、従来の慣習を破る
お店が出始めたとの報道を目にするようになりました。
① 同じものを繰り返し買って(注文して)もらうには、
〇 定期的に購入してもらえる、購入頻度の高い製品を取り扱う
それを企業の自慢商品(強み)に育てていく
② 違うもの(新商品、関連商品)を買って(注文して)もらうには、
〇 「機能を付加」「高性能化」した新商品を出す(置く)
〇 「マイナーチェンジ」で、顧客の持っているものを陳腐化
⇒ 購入サイクルを短くする
〇 シリーズ化、オプション付加、コーディネート
いずれにしても、「どのように既存顧客にアプローチできるか」が、
『購買頻度を高める』ためのポイントとなりそうです。
次回は、『原価率を下げるには』について、考えてみたいと思います。
以上、富太郎でした。
- 第6回 売り上げ増加策(4) 客単価の引き上げ②
- 今回は、「客単価の引上げ策」の2回目として、
『買上げ点数を上げる方策』について、考えてみたいと思います。
要は、「もう一品買ってもらう。」「オプションの発注をしてもらう。」
には、どうしたらよいでしょうということです。
〇 たくさん買ってくれたら、安くする
一番手っ取り早いです。
例えば、チケット制度や回数券、
パック商品(束売り)、
2着買ったら、2着目は半額、等々。
手っ取り早いですが、リスクもあります。
値引き、割引が必要。
需要の先食いという面もあります。
前回お話した『全体最適』も考慮のうえ、導入が必要です。
〇 ご存じマックの「ポテトいかがですか?」の一言添え
一声で、売上UP。『クロスセル』と言うんだそうです。
お客さまに「関連商品」を買っていただくことで、
販売点数を増やす。
売れている組み合わせを調べて、実施する必要があります。
組み合わせに顧客が「価値を感じる」ことに意味があります。
〇 セット販売
売れ筋の組み合わせを、初めからセットにして売る。
お得感を出す「バリューセット」が思い出されますが、
「おせち料理のセット」も、この部類でしょう。
こちらは、お得感というよりは、『買い忘れの防止』とか、
『その場で全部揃う利便性』に意味がある気がします。
〇 オプション販売
メイン商品(サービス)と一緒に使うと便利なもの、快適なもの、
価値を増すものをプッシュする。
「関連陳列」や「使い方提案」で、『連想を誘発』してもらうい、
あと1点買っていただく。
『これもいただくわ』と言ってもらえるような演出、接客を。
〇 ついで買い
コンビニ、レジ横のあれです。
「せっかく来たんだから・・・」と、手に取ってもらえるよう
工夫してみましょう。
いずれにしても、もう1点買って(発注して)もらうためには、
『お客さまのためになる」という発想で考えることが重要です。
その方策、あなたがお客さまなら、購入を1点増やしそうですか?
次回は『購入頻度の向上策』について、考えてみたいと思います。
以上、富太郎でした。
- 第5回 売り上げ増加策(3) 客単価の引き上げ①
- 第2回で、利益を出すためには、「売上増加」「原価率の低減」「経費削減」
この3つの要素しかない、とのお話をしました。
第3回からは、この3要素のうち、「売上増加」に関してお話しています。
「売上」をさらに分解すると、
『顧客数』 × 『客単価』 × 『購入頻度』 となり、
「お客さんの数」を増やして、
そのお客さんが「1回に買ってくれる金額」を大きくし、
さらに「買いに来てくれる回数」を増やす。
この組み合わせで、『売上』は増えるわけです。
第3回と4回では、「顧客数」の増加策について説明しました。
今回と次回は、「客単価」の増加策について、お話したいと思います。
「客単価」は、『A 商品単価』×『B 買上げ点数』に分解できます。
今回はまず、『A 商品単価を上げるには』を考えてみましょう。
A 商品単価を上げるには、
① 「機能的価値」をUPして、値上げする
② 「精神的価値」をUPして、値上げする
の、2つの方向性が考えられそうです。
いずれにしても「付加価値」を付けることが、必要です。。
付加価値を付けずに「商品単価」を上げると、いずれ顧客離れが
起きることは、想像に難くありません。
ちなみに、「値上げより、減量に厳しい目」
との日経の記事を見た記憶があります。
① 機能的価値のUP の方策
(顧客の「不便・不満を解消」 ⇒ 顧客にとっての価値を上げる)
〇 品質・サービスの向上 (価値を磨く)
・ 期待に応える商品・サービスの提供
(日頃からの、顧客ニーズのリサーチ力が物を言います。
情報収集と分析に基づく、差別化商品の品揃え、
顧客満足を高めるための、受け入れ態勢は、出来ていますか?)
〇 品揃えの変更(価格帯の引上げ)
・ 顧客ニーズの高い商品なら、単価は上がっても、点数は減りません。 顧客の好みニーズの変化を発見して、商品構成を変えてみましょう。
・ 「コントラスト効果」~「上と並」だと「並」が選ばれやすいが、
『特上・上・並』とすると、『上』を選ぶ人が増えるという法則。
この効果を使って、プライスゾーンの引上げを図りましょう。
② 精神的価値のUP の方策
(顧客の「満足感増大」 ⇒ 顧客にとっての価値を上げる)
〇 特別感(アップセル) ~ 優良顧客の特別待遇
・ 優越感、特別扱い、楽しさ、限定感等の演出
⇒ よりグレードの高い商品を買ってもらえるよう、工夫しましょう。
〇 お得感
・ サイズアップ (原価率の低い商品ほど、利益には効果的です。)
・ おまけ (池袋のある老舗のパン屋さんは、買いに行くと1点必ず
売り物の商品をつけてくれます。近くに女子高がある故の経営方針
かもしれませんが、まさにコンビニとの差別化。「損して得取れ」)
〇 顧客心理の活用 (高価格 = 高品質)
・ なぜ、高い化粧品やブランド物を買うのか。価格が高い、安い
というのは、顧客自身が判断する『商品の価値』で決まります。
顧客の「こだわり」、「思い入れ」を、付加価値にしましょう。
そして、大事なのは、
(1) 価値の高さをお客様に「伝える」こと
商品価値をしっかりと『見える化』して、認知してもらう。
・ 価格競争に巻き込まれないためには、こだわりを追求し、
自社(店)の強みを磨き、いろいろな形、あらゆるケースで
アナウンスに努め、価値をわかってもらうことが必要です。
(2) 現状分析に基づき、売上目標、客単価等を具体的な数字で、
「目標設定」をしたうえで実行し、実施後も検証、フォローすること。
Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価・反省)・Action(改善・フォロー)
のサイクルをしっかりと回しましょう。
一般に、「単価が上がると、買い上げ点数は落ちる。」と
言われています。『全体最適』を意識することが、計画策定上重要です。
次回は、『買上げ点数のUP策』について説明させていただく予定です。
以上、富太郎でした。
- 第4回 売り上げ増加策(2) 顧客数の増加②
- 事業で収益を上げるための仕組みのことを『ビジネスモデル』といいます。
「ターゲットは誰」で、「事業として何を行い」、「どのようにして利益を
上げるか」という、『儲け』を生むための、具体的なシステムのことです。
〇 『誰に』とは、どのターゲットに売り込みをかけていくかの絞り込み。
〇 『何を』とは、何を売るか。それに、どのような価値を認めてもらうか。
〇 『どのように』とは、それをどうやって販売していくか。
以上を意識しながら、限られた経営資源(人・物・金・時間)を、
どう投入していくかを考えながら実践していく必要があります。
ポイントは、『どこで(競合先に)差をつけるか』です。
今回は、「顧客数」を増やすための方策(引き出し)を、記載します。
ご自身の経営資源を活用できそうなものから、実践をご検討ください。
〇 『誰に』
① 足が遠のいている、もう一度堀り起こしたい顧客に対して
(過去の取引状況から、利益、売上高が高い先をセグメント)
② リピート機会を向上し、「固定客化」したい既往顧客に対して
③ 逃がしたくない「固定客」に対して
④ 「この分野なら当社(店)」と認知してもらいたい潜在顧客に対して
〇 『何を』
・ 高付加価値(収益性の高い)商品を
・ 差別化できる(他社よりも得意とする独自)商品を
・ 従来取り扱っていなかった「新商品」を
〇 『どうやって』
・ 分析データに基づく「メニュー」「価格」等の見直しで
・ より「顧客志向」のサービスで [価格以外のサービスの充実]
(従業員対応力の強化、店の雰囲気・レイアウト・陳列の改善、
アフターサービス、クイックレスポンス、イベント開催等)
・ (顧客のニーズに合わせた)営業時間の見直しで
・ 広告・宣伝の工夫で
(ネットの活用、HPの開設・充実、既往顧客からの紹介等)
・ 『お得感』の演出で
(初回特典、紹介特典、ポイントカード、セット割引等)
・ 新たな販売方法の開始で
(インターネット販売、テイクアウトに特化、配達、御用聞き)
・ 他社、他店、地域(商店街)との連携で (人脈を生かして)
いかがでしょうか。
出来そうなものはありましたか。
まずは、お金をかけずに、すぐに始められることから、
スタートしてみてください。
なければ、ごめんなさい。
ただ、「自分のところではやっていないけど、こんなサービスを
受けたことはあるぞ。」ということが、ヒントになって「改善策」
に結び付くかもしれません。知恵を絞ってみませんか。
最後に、以前「経営改善研修」の実習でやった
「売上が低迷して苦境だった和菓子屋さん」への売上増加のヒントです。
『 早朝販売 開始の検討を。ラジオ体操はじめ、意外と年齢の行った人は
朝出歩いています。和菓子も、出来立てのほうがより美味しいでしょうし。
ただ家族従業員で対応し、追加の人件費はかけないようにしてください。』 とお願いしました。
以上、富太郎でした。
- 第3回 売り上げ増加策(1) 顧客数の増加①
- 第2回で、利益を出すためには、「売上増加」「原価率の低減」「経費削減」
この3つの要素しかない、とのお話をしました。
今回はこの3要素のうち、「売上」に関してです。
「売上」をさらに分解すると、
『顧客数』 × 『客単価』 × 『購入頻度』
となります。
すなわち、「お客さんの数」を増やして、
そのお客さんが「1回に買ってくれる金額」を大きくし、
さらに「買いに来てくれる回数」を増やす。
そうすると、『売上』は、増えます。
他の要素「原価率」「経費」が変わらなければ、
「売上」が増えれば、『利益』も増えます。
ただ、「何かをいじる」と「別の何かの数字」も変わってしまう。
例えば、新規のお客さんを増やすために、宣伝を強化すれば、
広告宣伝費という「経費」が増えてしまう点には、注意が必要です。
まずは、極力「原価」や「経費」を増やさずにできることから。
〇 『笑顔とあいさつ』
かつて、マクドナルドのCMに「スマイル 0円」というのがありました。
お客さんが店員さんの笑顔に払うのは0円。
経営者が集客に払うのも0円(人件費のうち)です。(CM代は別)
やはりむかし「社員教育費節減のため『いらっしゃいませ』『ありがとう
ございました』をレジの人に言わせない」というスーパーがありました。
価格(薄利多売)で勝負というコンセプトでは、CM効果はあったでしょう。
(経費削減効果は?)
なかなか、「価格勝負」に行けない小規模企業では、
今一度『接客』に目を向けていくことが必要だと思います。
『笑顔』と『あいさつ』。コミュニケーションの基本です。
〇 『お得』感
年末に、年始のご挨拶の品を買いに近所のお店に行った時のこと。
我が家的には、ちょっと奮発したお酒を買いました。
「お年賀用に、包んでもらえますか。」とお願いしたところ、
気持ちよくやっていただき、熨斗までつけてくれたのですが、
『(ビニール)袋は有料、4円になりますが、どうしますか?』
と聞かれ、ちょっとびっくり。
「結構です。」といって、そのまま抱えて帰ってきました。
別の和菓子屋さんでは、『サービスセット』を1,000円で売っていて、
定価合計よりも30%くらい安かったので、家内は3セットも買ってきて、
親戚に配っていました。
ただでさえ、安くて『お得』感があるのに、セットの袋の中には、
もう一枚ずつ店の紙袋が入っていて、配るときに重宝しました。
「エコのため」ビニール袋を有料にしたんだと思っていたら、
なぜ紙袋も有料?と思っているお客さんも多いのではないでしょうか。
従来無料だった袋代で、「原価」や「経費」負担が大きく膨らむとは、
思えません。
酒屋さんの件でいえば、高額な商品だけ袋をつけるのは、
他のお客さんに不公平感を与えるから、というのであれば、
「いくら以上お買い上げのお客様の紙袋は、サービスします。」
と表示するとか、有料にしておいて、「精算時に値引き」とすれば、
かえって『お得』感、『満足』感を増せるのではないでしょうか。
そんな気持ちになってもらって、既存客の離脱を防ぎ、
新規客を一元ではなく、固定客にできれば、安いもののはずです。
消費者は『お得』が大好きです。
『常に、お客様の目線で考える。』
事業者として、当たり前のことであり、
「やってますよ」という方が大半でしょう。
でも、「今日、出来ていましたか?」「今、出来ていますか?」
「知っていること」と「実行すること」には、大きな差があります。
『やってみる』『あきらめない』。
まず、行動することから始めましょう。
以上、富太郎でした。
- 第2回 プロローグ(経営全般②)
- 利益を増やすには、どうしたらいいでしょう。
利益を増やす仕組みは、損益分岐点売上高(売上と原価+経費が同じになる
売上高/損益分岐点売上高の算式は、下記)の算式の中に答えがあります。
この式から分かるように、利益を増やすには、
① 売上を増やす
② 原価率を下げる
③ 固定費を減らす
のいずれか、またはその組み合わせによります。
さらに、それぞれの項目をブレイクダウンすると、
① 売上を増加するには、
〇 単価を上げる
〇 数量を伸ばす
〇 新商品を投入する
② 売上原価を削減するには、
〇 単位当たりの製造費用を下げる
③ 経費を削減するには、
(ア) 人件費
〇 給料を下げる
〇 従業員を減らす
(イ) 人件費以外の経費
〇 売上に貢献していない経費の把握、削減
となり、さらにご自身の事業内容、体力で取り組み可能な
「具体的方策」を考え、実行していくことが必要になります。
経営改善をする場合に、一番手っ取り早いのは「人件費の削減」
だと言われます。
ただ、私が学んだ「日本生産性本部」でも、「中小企業大学校」でも、
『人件費削減は、基本やらないほうがよい。』と教わりました。
理由は、「従業員の士気の低下」「社内の雰囲気の悪化」を
招く恐れがあるから。
費用削減の優先順位は「交際費」「車両費」「役員保険料」
「不動産賃借料」等が先。
それでも更に費用削減が必要で「人件費削減」に手を付けざるを
えない場合は、『役員報酬を先に削減』する。
従業員人件費は極力下げない。
どうしても下げなければならない場合には、役員報酬の削減率や額も
従業員に伝え、「役員もそこまで報酬を削っているならしかたない。」
と従業員に思わせることも、モラール維持のためには必要なケースも
あるそうです。
また、利益を上げる方策として、「④ 固定費の変動費化(注)」を
おっしゃる先生もいらっしゃいます。
(注)固定費の変動費化~方法①外注や業務請負に作業を依頼し、
人件費を外注費とする。 ②人件費のうちベースアップを抑制し、
賞与を増やす(業績連動)。 ③パートや派遣の利用(仕事量連動)。
同じ金額の人件費でも、上の「損益分岐点売上高」の式に
当てはめていただくとわかりますが、『変動費』に算入したほうが、
利益は増えます。
事業の内容、状況は、1企業1企業違うので、具体的方策も変わります。
また、方策により、効果の大きさ、効果が出るまでの期間も変わります。
ご自身の事業内容、状況に合わせ、また、短期、中期、長期の方策を
組み合わせて、経営改善に取り組んでいただけるよう、
できるだけたくさんの「改善策」を情報出来ればと考えております。
ぜひ、ご活用ください。
以上、富太郎でした。
- 第1回 プロローグ(経営全般①) 「5S」
- 以前、日本生産性本部でコンサルティングの勉強をしていた時に、
診断実習の指導コンサルタントから教えを受けたのは、
『何から手を付けたらいいかわからないときは、5Sから始めなさい。』でした。
SWOT(自社の、強み・弱み・機会・脅威)により、
経営改善の方策は当然に各企業変わってきますが、
どんな企業でも、環境の変化により「あるべき現場の姿」も、常に変化するので、
こういう時代だからこそ、5Sからまず取り組んでみることをお勧めします。
すぐにできますし。
5Sって何? 5Sとは、
① 整理 (要るモノと要らないモノを分類し、要らないモノを捨てること。)
② 整頓 (要るモノを決められた場所に置き、誰でも分かるようにしておくこと)
③ 清掃 (常に清掃をしてきれいにすること。)
④ 清潔 (整理・整頓・清掃を維持すること。)
⑤ しつけ(決められたルール・手順を正しく守る習慣をつけること。)
それぞれの頭文字をとって5Sです。
目的は、「無駄の削減と効率化による生産性の向上」からの、
『常に利益を生み出す現場づくり』です。
ものの本によれば、一人当たり物を探している時間というのは、
年間150時間にもなるそうです。
『なあんだ、そんなことはもうやってるよぉ』ということであれば、
それは素晴らしい。
できていないのであれば、今日からでも始めてください。
次回以降も、「売上増加」「原価率低減」「経費削減」「キャッシュフロー改善」のヒントについて、情報を収集し、還元させていただければと考えております。
よろしくお願いします。
以上、富太郎でした。