富太郎の日常80 『井上ひさし 私の3作』
前回、NHK「みんなのうた」で モー娘。 が歌ったと紹介した『ひょっこりひょうたん島』が始まった
のが、1964年4月。富太郎が小学校に入学した月で、10月には前回の東京オリンピックが開催されました。
このNHKの人形劇の作者が「井上ひさし」さん(山元護久さんと共作)。(以下、敬称略)
今回は、井上ひさし作品の個人的思い出についてです。
〇 ひょっこりひょうたん島
NHKで平日の夕方、6時前ぐらいにやっていました。当時、お相撲の打ち出しは5時半だったので、
お相撲からの「ひょうたん島」。 オープニングの♪「波をチャプチャプチャプチャプかき分けて・・・」
が有名ですが、富太郎が印象に残っているのは、博士(声:その後国会議員になる中山千夏)を中心とした
子どもたちと、サンデー先生(声:ビンちゃんこと楠トシエ)との掛け合いによる『勉強なさい』ソング。
子♪「勉強なさい 勉強なさい 大人は子どもに命令するよ 勉強なさい ・・・ そんなの聞き飽きた」
先生♪「いいえ賢くなるためよ 男らしい男 女らしい女 人間らしい人間 そうよ人間になるために
さあ 勉強なさい」海賊のトラヒゲ(声:ゲゲゲの歌の熊倉一雄)合いの手♪「そうだとも 泣けちゃうな
今の一言 みんな忘れるな」 先生♪「トラさんもね」 まったく勉強しない子、富太郎はムムム状態。
登場人物には、大統領ドン・ガバチョ(声:エプロンおばさん藤村有弘)もいました。ドン・がバチョで
憶えているのは、かるた大会を開催して、下の句(とり札)がすべて『それにつけても、金の欲しさよ』で
大会にならなかった場面。ちょっと前にプレバトの俳句で 三浦翔平(奥さんは桐谷美玲)が、70点才能あり
2位になった句『山笑う バンカー越えの アプローチ』を聞いた時に、「オォッ!」と思い出しました。
『山笑う』は春の季語ですが、「入道雲」でも、「秋夕焼」でも、「枯芝や」でも、季語を入れれば
ドン・ガバチョの句同様それなりに成立するのではないか。それらが季語かは自信はないのですが・・・。
夏井先生に「歳時記を買って勉強してください。」と怒られそう。すみません。
〇 青葉繁れる
仙台一高を舞台に、井上ひさし自身の高校時代をモデルにした作品。テレビドラマにもなりました。
主演は、森田健作。二女高生のヒロイン役は竹下景子で、女優の 若尾文子(井上ひさしと同学年)が
モデルと言われています。文化祭で合同演劇をする予定だったのですが、直前にヒロインが退学し、
上京して女優さんに。後日、街中に彼女の写真の載ったポスターが張り出されます。二女高がミソ。
『地元では、頭の一女、顔の二女、体(体育会系)の三女 という通説あり。』と仙台出身の まつの君 が
力説していました。富太郎が言ったわけではありません。
主題歌は♪「できない生徒がさ できる学校へさ 入った悲劇はさ 語るも涙でござんすちゃ
300人中280番 だどもケツから数えてけさい 逆立ちすれば 逆立ちすれば 東大確実だっちゃ」
この最後の『だっちゃ』。ご存じ「うる星やつら」のラムちゃんの話し言葉です。「うる星やつら」の作者
高橋留美子さんが「青葉繁れる」の大ファンで使ったようです。高橋さんも同じ昭和32年生まれなので、
きっとこの本を読み、ドラマを楽しみにしていたのでしょう。 ちなみに富太郎は「めぞん一刻」派。
この本では、主人公と仲間たちが大問題を起こし、チョロ松校長(藤岡琢也)が庇って退職します。
そして最後に、仲間になった日比谷高校からの転校生が『おれもとうとう田舎っぺか』というセリフを
言います。このセリフをどう捉えるかは、人それぞれでしょうが、作者がこの作品で伝えたかったことが、
このセリフに込められているような気がしてなりません。
〇 モッキンポット師の後始末
赤いハードカバーの単行本を買って読んだのは、間違いありません。テレビドラマも、毎週楽しみに
見ていました。でも、細かい内容が思い出せない。唯一覚えているのが、井上ひさしの大学生時代であろう
主人公とその友人が、カトリックの学生寮に住んでいて、近くの文化放送の女子アナが通う銭湯に
覗きのために忍び込んで、天井が崩れて落ちてくるという場面のみ。あ~、情けない。
モッキンポットファンのみなさん、ごめんなさい。
それにしても、この井上ひさしという人物は、高校、大学生時代いずれも周りの人たちにずいぶんと
迷惑をかけていたのですねぇ。しかもそれを、ちょっと楽しんでいる節もある。心の内はわかりませんが。
有名作家になってからも、遅筆で回りを困らせていたようです。
4月5日から新宿の紀伊国屋サザンシアターで、井上ひさし作品を上演する「こまつ座」が、24年
ぶりに『貧乏物語』を再演するそうです。困った人は、出てくるのでしょうか。
ロシア人男性の平均寿命が68歳と聞いて、残りの人生に
限りがあることを改めて痛感している 富太郎
(ちなみにプーチンさんは69歳。日本人男性の平均寿命は、
81歳だそうな。そんなに違うんだぁ!)
フォト/タカラトミーのゲーム『黒ひげ危機一発』
世に出始めた頃から、樽の中の海賊が、眼帯は左右逆だけど
ひょうたん島の「トラヒゲ」に見えていたのですが、
コラボ商品で『ひょっこりひょうたん島トラヒゲ危機一発』
も、ちゃんと発売されていました。 チャン、チャン。