富太郎の日常140 『人間ドック』

 年一恒例、人間ドックを受診してまいりました。かれこれもう20年くらい同じところで受けています。

去年までは(任意継続の2年間も含めて)、健保に全額負担してもらっていたのですが、今年からは自腹。

市からの補助のあるコースではなく、思うところがあって、初めて「脳ドック」コースというのを・・・。

最近とみにスポーツ選手や芸能人の名前が出てこない。 勉強内容が覚えらない、すぐ忘れる(前から?)。

 これは「加齢」によるものか?、「何かの病気」なのか?と疑わしいレベルに。 で、初「脳ドック」。

 〇 「血圧」・「腹囲」・「採血」

 まずは「血圧測定」。 朝自宅で測ったときには120行かなかったのに、いきなり150越え。というのも、

いつも左手で測っているので、左手を突っ込もうとしたら、『右手です!』と鋭く注意を受けました。

『ぬぁにい!』と思って器械をよく見ら、確かに右手を突っ込む仕様。毎年やっているはずなのだけれど。

言い方もとげがあったし。 「深呼吸をしてからやり直してください。」と言われたけれど、カチンときて

いて再測定でも130越え。『胡麻麦茶』の世界だぜ。そもそも、なぜ「右手仕様?」と思ったけど、奥に

聞いたら、「右手で測る人の方が多いんじゃない。」だそう。 何でも自分中心に考えてはいけませんね。

 続いて、身長・体重・腹囲測定。身長体重は去年と同じも、腹囲は。 係の人が『えっ!』っと二度見。

再計測でメジャーをお腹にくい込ませてくれたけど、去年より3センチUP。メタボゾーン再突入。健保から

の『健康保険指導』の声掛けがもうないと油断たら、この体たらく。自覚はあったもののさらに落ち込む。

 落ち込んだまま採血へ。隣のブースの女性が「私、血を抜かれているところを見るのが好きなんですよ」

看護師さんが「私もです。」なんてやり取りが聞こえてきて、「アルコールでかぶれませんか?」「採血で

気分が悪くなったことはありませんか?」とか聞いてくるので、『はい』とだけでは愛想がないと思い、

『注射は嫌いです。』と言ったら、「大概の人はそうです。」と受け流されました。

 ♪「・・・やがて注射は 嫌だと泣き声 いずこも同じと 君は笑う」(さだまさし「第三病棟」1976)

 〇 「電車」・「桜」・「猫」

 いつもだと「聴力検査」を受ける場所で、『脳ドック』受診者だけの『記銘力検査』というのを受診。

「今日は何月何日ですか?」「ここは何市ですか?」「今の季節は?」とか次々と質問される間に、

「次の言葉を覚えてください。」と3つ言葉を言われ、更に「ここの施設の名前は?」「今日の曜日は?」

等々質問をされて、「さっきの3つの言葉を言ってください。」と言われたけれど、「桜」と「猫」は

出てきたものの、あと一つが全く出てこない。「電車です」と言われても、「そう言えば・・」すらない。

なんか不安的中で、落ち込んでいるのも意に返さず、係の人は「この紙を半分に折ってください。」「この

図形を書き写してください。」「何でもいいので文章を書いてください。」と淡々と検査を続けます。

『昨日、巨人は勝ちました。』と書いたら、「野球が好きなんですね。」が見送りのときの言葉。

 ♪「たった今飲んだ薬の数さえ すぐに忘れてしまう彼女は しかし 夜中に僕の毛布をなおす事だけは

必ず忘れないでいてくれた・・・」(さだまさし「療養所(サナトリウム)」1979)  

40年以上前に聴いた時とは、歌詞のとらえ方が全く変わっているのが、時の流れと言うものでしょうか。

 まっさんは70越えだと思うけれど、現役バリバリで、ももクロ等とも交流あり。 すごいなぁ。

 〇 がんがんトンネルの魔人

 最後の「脳МR検査」の前に、1時間ほどあったので、駅前まで戻ってドトールでモーニングセット。

すきっ腹にコーヒーが浸みます。 施設(病院付属の健康クリニック)から「МRIの機械」のある本院まで

車で送ってくれ、いよいよです。 健康クリニックはドック専用なので、皆さん健常ですが、病院の方は

患者さんなので、ちょっと空気感が変わります。しかも、機械のある検査部屋が地下。 バチスタシリーズ

にも、МRIが出てくるシーンがあって(2作目「ナイチンゲールの沈黙」)、やはり検査部屋は地下階。

 順番が来て、検査技師のお姉さんに部屋に招き入れられ、簡単な説明と金属探知機でのチェック。黄色い

耳栓を渡されました。(試験案内に「耳栓禁止」とあったのを思い出す。) 「動かないでくださいね。」

「気分が悪くなったら、これを握ってください。大きな音で、声を出されても聞こえませんから。」と

黒いゴムボール状のものを握らされます。 小説では小児科の話だったので、看護師さんが手を握って、

「アベ・マリア」を歌ってくれるのだけれど・・・。 耳栓をしていても、ガンガンガン、ギンギンギン

等々大音量で、いろいろな金属音が。たぶん脳を刺激してくれているのだと思いますが、音の回数が微妙に

違うのに気が付いたりして。 と、唐突に終了。特に説明等はなく「耳栓」回収。『お疲れさまでした。』


 病院から駅まで、マイクロバスの送迎あり。富太郎より年上と思われる運転手さんと、ずっと年上と思わ

れる男性1人と女性2人と同乗。 走りだした途端女性の1人が「止めてぇ、お金払ってくるの忘れたから、

止めてぇ!」 家に帰ったら、何だかとても疲れて、午後はお昼寝で過ごしました。 結果は2週間後です。


 あれからキーワード「電車」が、ずっと頭から離れない

                    富太郎

(これを、試験勉強の「暗記」に応用できればと、

 切実に、とても切実に思う、今日この頃。)


 フォト/バチスタシリーズ第2弾

 『ナイチンゲールの沈黙』 宝島社 2006年10月発行

 作者の 海堂 尊 さんは県千葉から千葉大医学部を出た

 お医者さん。『チームバチスタの栄光』で、第4回

 「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。

 富太郎の好きな『神様のカルテ』の作者 夏川宗介 さんも、

 信州大学医学部を出たお医者さん。

 本を読むのが苦手だった富太郎を、読書の世界に導いた

 作家のひとり、どくとるマンボウこと 北 杜夫 さんも、

 東北大学医学部を出たお医者さん。

  森鴎外 に、渡辺淳一。 安部公房 は、東大医学部の

 卒業だけど、「医者にならない」という条件付きだった

 って、本当かなぁ。

 

  補 足

 「がんがんトンネルの魔人」は、『ナイチンゲールの沈黙』

 の登場人物の1人で、МRI研究分野の第一人者 島津吾郎

 放射線科助教授(主人公 田口公平 の学生仲間)のあだ名。

 第一部「天窓の迦陵頻迦」第11章に登場。 凄腕ですが

 『今日は痛くないが、ちょっぴり怖い検査をする。がんがん

 トンネルだ。・・・アツシが頑張ってくれれば、地球は

 守れる。がんがん攻撃が終わったとき、アツシは勇者だ。』

 子ども心も解かるのです。



2023年05月26日