富太郎の日常81 『囃子詞』
前回取上げた、井上ひさしの『青葉繁れる』の登場人物に「ユッヘ」という主人公の仲間がいます。
この高校生の口癖が、『ユッヘ ユッヘ ユッハイザー!』。 ゲーテの「ファウスト」の中のセリフで
『いいぞ いいぞ いいことぞ!』というような意味であると書かれていたような気がします。
気分を盛り上げる呪文のようなものなのでしょう。 先週プロ野球が開幕した翌日の新聞のコラムに、
『野球拳』のことについて書かれていました。 「アウト セーフ ヨヨイノヨイ」
広辞苑によると、『囃子詞(はやしことば)』とは「歌の切れ目に付け加えて、調子を整えたり、
気分を盛り上げるための、掛け声に似た言葉。意味の分からないものが多い。」と説明されています。
「ヨヨイノヨイ」に意味はあるのか。パソコンで打つと『世々位の良い』とも変換され、何となく縁起が
良さそうですが、意味は? 似たようなもので、ベンジャミン伊藤、小松の親分さん、キャンディーズが
こたつの上に乗って歌い踊った『電線音頭』は、「ヨイヨイヨイヨイ オットットット・・・」。
中村梅之助演じる伝七捕物帳の手締めは、「よよよい よよよい よよよい よい 目出てぇなぁ」。
何となく、気分が明るくなります。
独身の頃、家族麻雀をやると、調子の出てきた父親は決まって『はい はい はいの さんねんき』
と言い始めました。自分の気分を盛り上げるために言っているのだろうけれど、意味不明。へんなのと
思っていたら、社会人になって会社の人と麻雀をやるようになった時、父親と同世代の課長がやはり、
『はい はい はいの さんねんき』と言うのを聞くに至り、これは映画か何かの主人公のセリフが、
「流行り言葉」になったものなのかな、とは思ったものの、未だ意味は不明のままです。
このセリフを言って自分だけ盛り上がった後、発言者が大勝ちしたという記憶もないし・・・。
その昔、転勤で札幌に住んでいた時に、社宅の近くの通りが『よさこいソーラン祭り』のサブの会場に
なっていて、大勢の参加者たちが「どっこいしょ どっこいしょ」と歌い踊りながら、通っていきました。
すごい熱気で、非常に盛り上がっていたのですが、この「どっこいしょ」の『どっこい』は、気合を入れる
ときの掛け声バージョンの他にも、「どっこい どっこい」だと『同程度』という意味になるし、
「すっとこ どっこい」だと「馬鹿とか間抜け」という、よろしからぬ意味になります。
また、この前半の『すっとこ』は、東京あたりのお祭りの『馬鹿囃子』の囃子詞であり、江戸言葉で
「裸」という意味があるんだそうな。 合わせると「裸の間抜け」。 かなり酷い罵り言葉ですが、
最近のニュースを見ていると『やっていいことと 悪いことがあるだろう。この、すっとこ どっこい!』
と言ってやりたい出来事が、あまりにも多すぎませんか?
ちなみに富太郎は、スポーツ中継を見ていて、ひどいプレーを目にすると、画面に向かって、
『何やっとんじゃ、ボケ!』とつい叫んでしまうのですが、そのたびに奥から「汚い言葉を使わない!!」
と怒られます。 おっしゃる通り。 でも、やめられないんだなぁ、これが。 子どもか・・・。
最近、連日、夢の中でも過去問を解いていて、
春眠の喜びに浸れていない 富太郎
残念!!
フォト/ 大学通りの満開のさくら
今年は満開が例年よりもちょっとだけ遅い
ようなので、週末の「桜フェスティバル」
まで、持ちそうな気配が・・・。
(例年は、ほぼ葉桜。)
会場は「谷保第三公園」
新聞折込のパンフレットによると、
出し物はダンス系が多いよう。
最近のダンスには、秋元康系の「ヘイ」以外には、
あまり「合いの手」は入らないようですが・・・。