富太郎の日常136 『 殿 』
『殿』と書いて「しんがり」と読みます(訓読み)。 何回か前の大河『どうする家康』で浅井の裏切りで
浅倉との挟み撃ちにあった織田信長が、さる(藤吉郎)に「しんがり」を命じます。家康は「好きにせい」と
言われたのですが、残って「殿軍」に加わります。 『いい人』って、いつの世も苦労しますよね。
なぜ「しんがり」が『殿』という字なのか。「一番うしろ、奥にいる人」と言う意味での『殿様』からと
いうのが通説のようですが、危険な役を任された武将への「美称」というか「同情」のような気もします。
今回は、「一番うしろ」関係のあれやこれやで。
〇 ビリギャル
もう何年も前になりますが、偏差値30、クラスで最下位のギャルが、慶応に現役合格したという話が
話題になり、映画にもなりました。映画の主人公を演じたのが「どうする家康」で家康の正室「瀬名(築山
殿)」を演じている 有村架純 さん。 『ビリ』はカタカナで書かれがちですが、「尻」が「ひり」に転じ、
「びり」に訛ったというのが有力説で、すでに江戸時代の歌舞伎で『最下位』という意味のほかに、「尻」
という意味でも使われていたのだとか。 「尻ギャル」だとちょっとお品の方が・・・。
1998年以来、25年間50季連続でずっと『最下位』の東大野球部。 今年は開幕の明大戦で「もしや」
と思わせる健闘を見せました。ぜひ、今季こそ。 「ドラゴン桜」で伝説の弁護士教師を演じた 阿部寛 が
「どうする家康」で 武田信玄 を怪演しています。 ちょっとイメージと違うけど、嫌いではありません。
〇 どん尻
今年のお正月の歌舞伎座は『壽 初春大歌舞伎 第一部弁天娘女男白波』。 白波五人男。
主人公、弁天小僧の相棒 南郷力丸 の所謂自己紹介が、『さて どん尻に控えしは・・・念仏嫌えな 南郷
力丸』。と書いては見たものの、内容はよく知らないのですが・・・。
「どん」は意味を強める接頭語。また「尻」で恐縮ですが、「最も終わりである」ことだそうです。
今年の 南郷力丸 を演じた 中村勘九郎 は、大河「いだてん(作 宮藤官九郎)」で主人公の一人、金栗四三
を演じていました。金栗さんと言えば『箱根駅伝』の創設者。 最近の『箱根』は、アンカー(最終走者)の
デッドヒートの場面はなかなかありませんが、今年の2区のような接戦があると、益々盛り上がることで
しょう。 同じ「いだてん」で狂言回しの 古今亭志ん生 役をやっていた ビートたけし は、軍団で『殿』
と呼ばれていました。 欽ちゃんは『大将』・・・って言うのは、関係ないか。
〇 千秋楽
大相撲の15日目の結びの一番。 立行司 木村庄之助 が 『この相撲一番にて千秋楽~』 と宣言し、
横綱どおしの相星決戦だと大盛り上がりなのですが、最近は横綱はおろか大関すら不在とは如何なものか。
舞台でも最終日は「千秋楽」と言います。 先日、松本白鴎さん(80歳)が1969年から54年に渡って
主役を演じた『ラ・マンチャの男』が幕を閉じました。 26歳の初演から数えて1,324回。『千秋』とは
長い年月を意味する言葉です。ある新聞には「大団円」との表現もありました。本当にお疲れさまでした。
ご本人は『命ある限り 芝居を続けます。』とのこと。 終わりを始まりにしていただければと思います。
終わり良ければ総て良し。
巨人の「最下位」争いを やきもき しながら
応援している 富太郎
(♪「嵐が丘に1人立つ 我らが友よ 長嶋よ
君の後ろに百万の 巨人の星が燃えている
頑張れぇ 長嶋 ジャイアンツ」 以来?)
フォト/大学通りに新設された、
「わたるな」の交通標識。
最近、歩道を我が物顔で走っている自転車が増えた
気がします。 あちこちに「自転車走行禁止」
と書いた設置物が置かれているのに・・・。
『ルールは破っても、マナーは守れよ!』甲本ヒロト
誰かも書き込んでいました。
「ルールを破れば、自分に責任がある。
マナーは破ったら、他人が迷惑する。」