富太郎の日常189 『 私 』
男はつらいよ の寅さんの口上は『わたくし 生まれも 育ちも 葛飾 柴又 です」
今井美樹さんの PRIDO は♪「わたしは 今 南の 一つ星を 見上げて 誓った」
寅さんの口上は「わたくし」だし、今井さんの PRIDO は「わたしは」でないと、バランスが悪いです。
どちらも、きれいに4拍子。 人間、バランスが崩れるとロクなことはありません。 5月病も然り?
〇 「わたし」か「わたくし」か
文化庁のHPによると、戦後すぐの第1回国語審議会で、『「わたし」を標準の形とする。「わたくし」
は、あらたまった場合の用語とする。』との、文部大臣への建議がなされているのだそうです。
歴史的には、「わたし」という語は、大正・昭和に標準化されたもので、「わたくし」は平安中期の
『源氏物語』にも、記述を見ることができるとして『わたくしにも 心のどこかにまかで給え』と、何かに
書かれていましたが、この『わたくしにも』は、(帝が)私的にという意味だったのではないかと・・・。
学生時代、ゼミのメンバーが「自分は・・・」と発言したのに対し、先生が『「自分は」というのは、陸
軍の言い方で(先生のいた)海軍は「私(わたくし)は」と言っていた。』と言われたことがありました。
明治の陸軍は「長州閥」、海軍は「薩摩閥」だったかららしいですが、昔から体育会系は「自分は」と
言っていたイメージです。 昨今、「ボクは」という女性も増えてきている気がしますが。
〇 「私に」
『ひそかに』と読めます? 民法を勉強していて921条【法定単純承認】3項に『相続人が、限定承認
又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、 私に これを消費し、又は
悪意でこれを相続財産の目録に記載しなかったとき。・・・』 富太郎のように「わたくしに」と読む
受講生が多いからか、テキストには「私(ひそかに)これを消費」と、ふりがな が添えられていました。
我が家の広辞苑には、『ひそか』は「密」のみしか出ていませんんでした。が、用例には 三蔵法師伝 と
して『私(ひそか)に商人(あきんど)と与(とも)に・・・』と出ていました。 漢文の世界なのか?
〇 「私立」と「市立」
スポーツ大好き おやじ なので、色々な大会のチェックをしているのですが、東京だと『武蔵高校』には
都立と私立があって、試合結果などには「都立武蔵」「私立武蔵」と表記されます。 福島にスポーツの
強い私立の 石川高校 という学校があるのですが、こちらは県立の石川高校と区別するために「学法石川」
と表記されます(学法は学校法人)。 甲子園や全国高校サッカー、吹奏楽の強豪校「市立船橋高校」は、
地元で『ふなこう』というと『県立船橋高校』の事らしく、「いちふな」と呼ばれていますが、NHKの
甲子園の中継では「しりつ船橋高校」とアナウンスされ、日テレの高校サッカーでは「いちりつ船橋高校」
とアナウンスされているようです。 確かに「しりつ」だと「市立」か「私立」か混同しそう。
と、いうことで大阪に「いちりつ(平仮名)高校」いう校名の学校があります。 元々は「大阪市立高校」
だったですが、2022年に市から大阪府に移管され「大阪府立いちりつ高校」という、ちょっと気になる
校名に。 1941年創立の「旧制大阪市立中学」という伝統の校名と、私立学校との混同を避け、かつ大阪
府立市立という、あり得ないネーミングを回避するための「いちりつ(平仮名)」は、完璧ではないかと。
夏の甲子園予選が始まると、全試合の高校の結果を
チェックするのが、何よりも梅雨から夏にかけての
お楽しみの 富太郎
(ここ何年かで気になっている校名が、大阪の
『咲くやこの花高校』。 大阪市の「此花区」にある
府立の高校らしいのですが、「此花高校」ではなく、
区名の由来「咲くやこの花(百人一首・難波津の歌)」
をそのまま校名にしてしまうなんて、なんと優雅で
お洒落な・・・。 やるなっ、大阪っ!!)
フォト/「1円切手」
(現物が手元になかったので、郵便局のHPから借用)
切手の人物『前島 密』さんは、「日本近代郵便の父」と
呼ばれる方で、「郵便」「切手」「葉書」等の名前を
定めたのも、この方のよう。
富太郎が小学生の頃、『切手ブーム』があって、富太郎も
一応「切手帳」を用意して(コレクションは、ほとんど
なかった)、お約束の表紙に「1円切手を貼る」というのは
やっていました。 当時から、1円切手の肖像はこの方。
今でも「切手収集」という趣味はポピュラーなのでしょうか。
古物買取業者のチラシに、「古切手買います。」と書いて
あるのは、よく見ますが・・・。
参 考
難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花 (王 仁)