富太郎の日常186 『 はて? 』

 NHKの朝ドラ「虎に翼」に夢中です。 日本初の女性弁護士をモデルにしたドラマで、朝から元気が

いい。 何と言っても、2020年から4年連続で『三角チョコパイ』のCMで独特なフリを見せている 伊藤

沙莉 さんが主役で、感情表現豊かに主演の 猪爪寅子 を演じています。 裁判所で閉廷後、被告の夫が原告

の妻に殴りかかろうとするところに『ちょっと、待ったぁ!」と割って入る、元気印の正義感。 人呼んで

「ももクロの茶色担当、ちゃいり」から目が離せません。 今回はいろいろな先生についてです。

 〇 穂積重遠(先生)

 寅子さんの師にあたる 穂高重親先生 を小林薫さんが飄々と演じています。 モデルとなった穂積先生は

寅子の通う明治大学(ドラマでは明律大学)に女子部を創設しただけではなく、男爵として貴族院議員、

東宮侍従長として、平成天皇の幼少時代のお付の責任者となり、その後、最高裁の判事を歴任されました。

 そして、最高裁判所の裁判官として、1950年(昭和25年)の段階で、旧刑法200条「尊属殺」に

『違憲』という少数意見を出されました。 その後1973年に最高裁大法廷が『違憲判決』を出し、最終的に

旧刑法200条が削除されたのは、1995年。 穂積先生が『違憲意見』を出されてから45年後でした。

 これからドラマの中で、穂高先生がどう描かれて行くのか、注目です。

 〇 津田梅子(先生)

 女子教育と言えば、津田塾大学を開設した津田梅子先生。 6歳にして日本最初の女性官費留学生5人

(14歳、14歳、11歳、8歳、6歳)のうちの1人として、10年以上にわたり米国に留学しました。

(14歳の2人は、体調を崩し翌年帰国。) 6歳と言えば、先日見た先生に引率されて集団下校していた

新1年生たちと同じ年ごろ。 どのような家庭環境かと思えば、お父さまは江戸幕府の「通訳官」をされて

いたようで、1860年代に福沢諭吉先生らの渡米の折に、通訳として使節に随員していたようです。

 しかし梅子先生は帰国後、政府に官職は用意してもらえず、女学校等で教鞭をとりながら「女子英学塾」

を開校。その後、新渡戸稲造 氏等の協力を得て、多摩地区の小平に移転し、後に津田塾大学となりました。

 〇 福澤諭吉(先生)

 福澤先生と言えば、慶応大学ですが、慶応だけではなく、一橋大学や、明治大学、中央大学、専修大学

等の前身となる学校の開設にも、尽力されたようです。「女大学評論 新女大学」という文献もありますし

お父さまとのつながりもあるので、津田梅子先生とも交流があったのではないかと勝手に想像しています。

 また、東大と折り合いが悪く、研究に支障をきたしていた 北里柴三郎先生 に対して全面協力と、多大な

資金援助もなさったようです。 北里柴三郎先生は、北里大学を立ち上げただけではなく、慶応大学の医学

部学長、慶応大学病院の初代院長も務められました。

 「明治」どころか、「昭和」も遠くなりにけり。ではありますが、先人のバイタリティーには、恐れ入り

ます。 しかも「私腹」ではなく、『世のため人のため』。 頭が下がります。 この先人たちが、お札の

肖像に使われている(もうすぐ使われる)のも、偶然ではないでしょう。 穂積先生はまだですが、先生の

母方のおじいさま 渋沢栄一氏 が、福澤先生の後を受けて、もうすぐ一万円札で登場です。 「はて?」

国はポイント付与等で「キャッシュレス社会」を目指しているようですが、いつか『紙幣』は「絶滅危惧」

品となるのでしょうか。 社会人になって最初の「お給料(当時は現金支給)」をもらった時の、感慨。

振り込みの数字だけとは、比べものにはならないと思います。 あくまでも、個人的な感想です。


  晩年の福澤先生が、午前に3~4時間、午後2時間

 勉強をして、最後まで無造作な『老書生』といった風

 の生活をしていた、という記事に接して『おんなじ!』

 と嬉しくなった  富太郎(「素老人」改め「老書生」) 

 (とは言え、今の富太郎と同じ66歳で、福澤先生が

 亡くなったというのは、平均寿命が違うとはいえ、

 ちょっとショック。)


 フォト/4月1日、『寅に翼』の第1回の冒頭で、

 寅子さんが、「日本国憲法」施行の新聞記事を感慨

 深げに読んでいるシーン(のテレビ画面)。

  富太郎が大学1年の時、憲法の講義を受けたのが、

 内閣法制局参事官として、「日本国憲法」の制定作業

 に携わられた 佐藤功先生 。制定作業当時、先生は

 30歳という若さでした。 そんな原作者のような

 先生の講義の時は、履修生を大幅に上回る生徒が

 教室に殺到し、沢山の立ち見がいたほどでした。

  中大の多摩移転で、「遠くなるから」と先生の

 中大での講義は、この年限りとなりました。



2024年04月19日