富太郎の日常47 『お楽しみはこれからだ』
五輪女子ボクシング 入江選手 が、にっこにこしながら入場し、金メダルを取った翌日の朝刊
「編集手帳」に、和田誠さんの映画の名セリフを集めたエッセイ『お楽しみはこれからだ』という本から、
『ボクシングは奇妙なスポーツだ。同じことを街中でやってみろ。たちまち逮捕される。』
というセリフを引用して、試合後の入江選手と負けたフィリピン選手の健闘を讃えあう姿に、
ボクシングだからこそ、スポーツマンシップの美しさが際立つと、書かれていました。
『お楽しみはこれからだ』は、富太郎が繰り返し読んだ40年以上前の大好きな本で、
久しぶりに古本のダンボールの中から引っ張り出してきて、読み返しました。
今回は、そんな『お楽しみはこれからだ』の中から、気になったセリフをいくつか・・・。
ちなみに、富太郎は『お楽しみはこれからだ』を定年退職後第2の人生のモットーとしています。
〇 CHAMPION (1949)
『ボクシングは・・・』 今回編集手帳で引用されたのは、カーク・ダグラス主演の「チャンピオン」と
いうボクシング映画で、カーク・ダグラスの出世作だとか。
和田さんはこのセリフを「コーチに扮したポール・スチュアートが面白いことをいう」と表現しています。
また、下積み時代の主人公には、「俺はミスターをつけて呼ばれたい」とのセリフも。
入江選手は、これから「金メダリスト」をつけて呼ばれるのでしょうね。改めて、おめでとうございます。
〇 HALF A SIXPENCE (1967)
ブロードウェイでヒットしたミュージカルの映画化「心を繋ぐ6ペンス」から。
上流社会の娘と結婚した仕立て屋さんの青年が、上流のパーティーで調子に乗りすぎて言ったジョーク。
『男は立って、女はしゃがんで、犬は片足をあげてするもの、なーんだ』
正解は、「握手」であるという。 まあ、大いにヒンシュクを買うでしょうね。
今の世の中だと、上流社会の娘と婚約しただけで、世間から・・・。 生きづらい世の中です。
〇 THE EXORCIST (1973)
オカルト・ブームというのがありました。和田さんは「それにしても『エクソシスト』は実に怖い映画で
あった。全篇恐ろしさで緊張しっぱなしである・・・」と書いていますが、
怖がりの富太郎はテレビCMを見ただけで震えあがり、結局一度も「エクソシスト」は見られずじまい。
49年にメリーランド州で実際に起こったと言われる事件をヒントに作られたというから、恐ろしさ倍増。
よってシチュエーションはわからないが、この本で取り上げられた、リー・J・コップ扮する警部補の言う
『青カビに疑問を持ったから、ペニシリンが生まれたのだ』というセリフは納得。 おっしゃる通り。
〇 SOME LIKE IT HOT (1959)
和田さんは「ラストのセリフに関するぼくの強い印象は『お熱いのがお好き(ビリー・ワイルダー監督)』
ということになる。」と書いています。
女装してギャングから隠れているジャック・レモンに金持ち爺さんのジョー・E・ブラウンが惚れて
結婚を迫る。レモンは、「タバコ吸うわよ」とか「浮気するわよ」とか言って逃げようとするが、
ブラウン老は「かまわん」「許す」と全部認めてしまう。たまりかねたレモン、かつらを取って
「おれは男だ」。 そしてブラウンのセリフで映画は終わる。『完全な人間はいない』
また、また、おっしゃる通り。 最近は、時代がこの爺さんの考え方に近づいていることが、ありあり。
〇 CASABLANCA (1943)
「ゆうべどこにいたの?」 「そんな昔のことは憶えてないね」
「今夜あってくれる?」 「そんな先のことはわからない」
ご存じ『カサブランカ』。 「ハンフリー・ボガードが女につれなくしているセリフ」
(と和田さんは書いている)。
富太郎が言っても「認知症」を疑われるだけというか、女性にこんなことは絶対に言われまい。
ジュリーは歌った。♪『ボーギー、ボーギー。あんたの時代はよかぁったぁ、男が ピカピカの気障で
いられたぁ・・・』 「男が」とか「女が」とか言うと、目をむく人が必ずいる時代。いやはや。
〇 THE JOLSON STORY (1946)
この本のタイトルである「お楽しみはこれからだ」。本の一番最初に取り上げられた作品でもあります。
オリジナルは、You ain't heard nothin' yetで、これを字幕スーパーで「お楽しみはこれからだ」
としたのは、名意訳であると思う。と和田さん。
ジャズ・シンガーである主人公が、ショーのクライマックスで使う言葉だとか。
「最後にもう1曲。最高の思い出を!」 と、富太郎も思うのです。
今回取り上げたのは、「お楽しみはこれからだ」の第1巻。富太郎の手元には、PART 7 まである
(何故か6が無い)ので、またいつか機会があれば、続きをやりたいと思います。
『 できっこないを やる夏だ 』 という
インターハイ応援プロジェクトのキャッチコピーに
グッときている 富太郎
フォト/和田誠 著 (文藝春秋)
『お楽しみはこれからだ』 表紙
1975年6月30日第一刷
1976年8月5日第七刷
あとがき
選手の大事な金メダルをかじったり、
テレビで「嫁入り前のお嬢ちゃんが
顔を殴りあってね。こんな競技が
好きな人がいるんだ。」と発言したり、
どうなってんだ、昭和のおやじぃ。
何をしても許されると思うなよ!
人のふり見て、我がふり直せ。自戒。