富太郎の日常139 『 素数 』
司法書士試験の受験票が届きました。 会場は今年も早稲田大学(アウエー感でやや苦手意識あり)。
5月8日(月)からの受付開始で、「書留」指定だったので、連休中に本局まで行って送ったのですが、
受験番号は三桁の後半。 受験予定のみなさんの「入れ込みよう」が伝わってきます。
例年、受験番号を見ると語呂合わせが浮かびます。去年は『ご苦労』。 あっけなく『ご苦労さん』で
終わってしまいました。 で、今年はと言うと「あっ、素数だ!」。自信がなかったのでインターネットで
調べると、きっちり、はっきり「素数」でした。 これも何かのご縁と言うことで・・・。
〇 『笑わない数学』
去年NHKの教育テレビで放送されていた番組で、その第1回目のテーマが「素数」でした。
と言っても、説明進行がパンサー尾形。仙台育英から中大のサッカー部。 歴代Jリーグベストイレブンに
選ばれた 中村憲剛 の3学年先輩。 とても数学が得意とは思えないのですが(失礼)、これが大真面目に
お笑いなしで説明証明を進めて行きます。時々カンペをチラ見。それを吹き出しでカウントされたりして。
「素数」に関しては、「1と自分自身でしか割り切れない」「どんな数も素数の掛け算で表される」
くらいまでは何とかわかるのですが、「素数が出現するタイミングには規則性が全く見当たらない」???
歴史上の天才数学者たちを悩ませてきた「素数」の大いなる謎なのだそうですが、教養課程、選択必修の
「数学」の単位を落とした数学音痴 富太郎 には、「なぜ規則性が必要?」なのかの方が謎。「それって、
西洋的な発想なんじゃないの?」なんて、敵前逃亡状態。 ここで『わからないんですか、富太郎さん』と
突っ込まれても、「おまえもな!」と突っ込み返せるのが、パンサー尾形を抜擢したNHKの人選の妙。
これが カズレーザー だったら、黙って俯いてチャンネルを変えるしかないものなぁ。
〇 『7は孤独な数字(?)』
同じ年生まれの作家 森 博嗣 さん(国立N大学卒)の『すべてがFになる』という作品の冒頭に、以下の
ようなやり取りが。 「1から10までの数字を二組に分けて、それぞれのグループを全部掛け合わせる。
この積が等しくなることはありますか?」 『ありません。片方には7があるので、その積は7の倍数に
なるけれども、もう片方には7がないので、7の倍数にならない。 つまり、二つのグループの積が等しく
なることはありません。』
7以外は、素数どおしでも掛け合わせれば10までの数字を作れるけれど、7だけはそれができない。
むかしの教育テレビ「知育」の番組で使われていた言葉で言えば、『仲間はずれくん』。それを言いかえて
『孤独な数字』との表現は、何だかマイナスイメージですが、世の中変わって『個性』の時代ですからね。
♪「・・・それぞれ特別なオンリーワン」
キリスト教の旧約聖書では『神はこの世の中を6日で作り、7日目に休息をとった』と、7は特別扱い。
野球でも「ラッキーセブン」と言うし。 なぜ7回がラッキーになったかと言うと、まだ19世紀の頃、
今のシカゴ・カブス(元広島の鈴木誠也が所属)の優勝のかかった試合、7回の攻撃中に平凡なフライが
風の影響でホームランになって勝ったのが由来だそうです。 だから今でもホームチームの7回の攻撃前に
みんなで『私を野球に連れてって』を歌うのですよ。 たぶん・・・。
〇 『博士の愛した数式』
交通事故で1975年以降の記憶が80分しかもたない数論専門の元大学の先生(博士)と、シングルマザーの
派遣家政婦とその10歳の息子(√)との、「数字」と「野球」を介したふれあいのお話。
博士がこの世で最も愛したのは「素数」だとの表現が出てきます。 主人公が電話番号を聞かて、
「576の1455です。」と答えると、『5761455だって?素晴らしいじゃないか。1憶までの間に存在する
素数の個数に等しいとは』 また博士は阪神、特に 江夏 の大ファン。 凄い投手と言うだけではなく、
背番号が28だから。 28は「完全数」なのだそう。 (28の「約数」を足すと28になる。 28=
1+2+4+7+14) 数字と野球の融合。 江夏は博士の記憶が途切れた1975年のシーズンオフに、
南海にトレードで出され、その後広島へ。「江夏の21球」・・・。
そして無限にある「素数」が全部、たった二つに分けられるとも。 『 4n + 1 』か『 4n - 1 』。
この辺りで富太郎はめまいが・・・。 野球の話には十二分についていけるのですが。
「√」の11歳の、博士の65歳の誕生日会の後、病の進行で博士は「施設」に入ることに。 65歳かぁ。
でも、しっかりと、それなりのハツピーエンドで終わらせる辺りが、作者の力量だと感服しております。
誰が何と言おうと好きな数字は「3」の 富太郎
(長嶋の前の巨人の背番号3は、千葉茂。
千葉の監督就任をきっかけに、氏のニックネーム
『猛牛』を意味する「バッファローズ」に変えた近鉄。
それまでは「近鉄パールズ」だったのですよ。)
フォト/『博士の愛した数式』新潮文庫
著者 小川洋子 (早大卒) (第1回本屋大賞受賞作)
「数学」にしても、「プロ野球」にしても、
どれだけ下調べをしたことか。本当に、頭のさがる思い。
特に、親子で博士への誕生日プレゼント
「江夏の野球カード」を探す下りがお気に入りです。
映画では、博士を 寺尾聡 。 母親を 深津絵里 。
ちょっと不気味な博士の義姉を 浅丘ルリ子 。
まさに、まさにピッタリの配役。ぜひ一度ご覧ください。
蛇 足
選択必修の「数学」を落とした富太郎は、翌年
「地学」を履修して、無事単位を取得。
学年末試験の「地学」の最後の問題。
問『御茶ノ水駅前交番の裏に、水が湧いている
理由を述べよ。』
答『ポンプでくみ上げているから。』
授業に出ていなければ、答えらない1問。