富太郎の日常134 『私の東京百景12 銀座 』
『おかしな二人』の開演が6時からで、少し早く着いたので、久しぶりに『銀ブラ』。って、古い?
コロナの前のサラリーマン時代に、審査の教え子のお客さんの所への訪問に同行して以来なので、3年以上
ぶり。ちょっと緊張。 それにしても外国人観光客の多いこと。たぶん過半数。 富太郎には似つかわしく
なく、かつ、不慣れな場所なので迷子にならないように、中央通りを2丁目から7丁目方向に向かいます。
〇 和光(旧服部時計店本店)の時計台
日本一路線価の高い「鳩居堂」前にほど近い(隣のビルが工事中)
銀座4丁目交差点に面していて、銀座でも一番人が多かったです。
北村薫さんが直木賞を取った『鷺と雪』という作品の最後で、
2月の雪の朝、買い物に行こうと予定していた「服部時計店」が
やっているか電話をかけて確認しようとしたところ、局番を間違えて
架かった先で電話に出たのが、憧れていた陸軍の青年将校だった と
いう形で話しは唐突に終わります。間違い先は、首相公邸・・・。
というのを思い出して、携帯でカシャ。
銀座には、2018年まで、事件前夜に青年将校たちが来店し、
『翌朝の新聞を見ろ!』と言い放って帰って行ったというエピソード
のある『銀座 白いバラ』というキャバレーがあったそうです。
〇 銀座三越 正面玄関のライオン像
和光の道向かいが三越。 上記『鷺と雪』は短編三作が集録され
ていて、一つ前の作品が「獅子と地下鉄」。戦前も中学受験が過熱し、
文部省が戒めの通達まで出したようです。 そんな受験生の間での
密かな言い伝え『日本橋三越本店の獅子の像に、誰にも見られず
背にまたがると 念願がかなう。』 がモチーフの作品でした。
本店ではないけれど、同じ三越なので、カシャ。
〇 銀座〇〇
アンパンの「銀座木村屋総本店」「銀座資生堂フルーツパーラー」
「銀座スエヒロ」「銀座アスター」「銀座 佐藤養助(稲庭うどん)」。
「銀座ライオン」は迷いましたが、メニューだけ見て素通りしました。
〇 日比谷シアタークリエ
銀座とはJRの高架を挟んで反対側。『帝国ホテル』の斜め前の
収容600名ほどのこじんまりとした劇場。 こちらで観劇です。
後ろから二列目で「見えるかなぁ」とちょっと心配していたのですが
上手く傾斜がついていて、まったく問題なし。 しいて言えば、
劇場が地下の二階で、建物の入り口から劇場のドアに行きつくまで、
上がったり、下がったり、若干迷路のよう。
さてお芝居は、テレビでは流せないようなセリフも交え(舞台の
醍醐味)、耳抜きのために「マぁ、マぁ」と夜中にやって嫌がられる
シチュエーションや、『愚痴はやめてくれ。 喧嘩なら私が勝つが、
愚痴ではあんたが勝つ』というような、たぶん原作オリジナルの
テイストも残しつつ、最後には登場人物全員で歌って踊る宝塚風の
演出もあって、存分に楽しませてもらい、あっという間に時間が
過ぎました。 お客さん方が、気取らずノリノリなのも好感。
機会があれば、また見に行こうっと。 紀伊国屋ホールは何やってる?
今回「銀座」にお邪魔して、確かに高級なお店が沢山あって、『憧れの街』なのだとは思うのだけれど、
むかし「最後の早慶戦 英霊たちの応援歌」という映画の中で、特攻隊の出撃基地の兵舎になっていた
学校の黒板に、「銀座の街並み」が書き込まれていて、出撃していく学徒出陣の学生たちが、記憶をたどり
ながら「空いている不明のお店の名前を埋めていく」というシーンを見て『銀座は愛されていたんだなぁ』
との印象とは少し違っていました。 時代とともに変化していかないと、生き残れないのだろうけれど。
少しまた、元演劇小僧の血が騒ぎ始めた 富太郎
(「おい、おい。試験まで3か月を切ってるぜ!」
いえいえ、そうはおっしゃっても、お奉行さま・・・)
フォト/有楽町口のそばに立っていた「南町奉行所跡」の碑
ならぬ、何かの機械のケースに印刷された表示。
小中学校の友達で、同じバレー部だった、おおい君 が自分の
ことを『おおい左衛門尉たかまさ』と名乗っていたのを
思い出しました。「遠山の金さん」は、北町奉行も南町奉行も
やっていたのですね。「え~い、この桜吹雪が目に入らねえか。」
って啖呵を切ったお白州が、ここにあったのかぁ。知らなかったぁ!
★ 蛇 足
日本一高い路線価「鳩居堂前(銀座5丁目)」の㎡単価が、4,224万円 (2022年)で、37年連続。
日本一高い公示地価「山野楽器銀座本店前(銀座4丁目)」の㎡単価は、5,300万円 (2022年)で、
16年連続 だそうです。 「路線価」は、時価相当の「公示地価」の0,8程度と言われていますが、
『鳩居堂』と「山野楽器銀座本店』は同じ「中央通り」に面していて、そんなに離れておらず、時価的には
ほぼ同じということになりそうです。
それにしても、まあ、天文学的数字です。 お家賃もさぞや高い事でしょう。 自ずと商売のやり方も
決まってしまうのでしょうね。 所々に「コンビニ」がありましたが、採算はとれるのでしょうか。
地下2階のコンビニとか。 余計なお世話ですが・・・。