富太郎の日常 256 『スター・ダスト メモリー』
相変わらずの「心トゲトゲ」の日々を、どうしたものかなぁと思っていたときに、新聞で『そんな時は、
この本』的な書評を読んで、購入した 辻村深月さん の『この夏の星を見る』。 「かかみの孤城」という
タイトルは聞いたことはありましたが、初 深月 。 久しぶりに、本を読んで泣きました。
◯ この夏の星を見る 帯「哀しさ、優しさ、あたたかさ。すべての感情がここにある。」 角川書店
街中には、マスクの人は極々少数派になっていますが、コロナ真っただ中のお話。 高校野球やインター
ハイ、文化系の全国大会がすべて中止になったあの夏。 茨城と東京・渋谷と長崎・五島の中・高生たちが
それぞれに、複雑な立場と感情を持ちながら、それでも前を向いて、進んでいくお話。 ストーリーは、
ぜひ、読んでいただくとして、富太郎は、深月さん のあちこちに散りばめた「仕掛け」に驚いたり、喜んだ
り。 例えば、女性宇宙飛行士の講演を聴きに行って、質問の回答の中に「(学研の雑誌)学習と科学」の
話しが出てきて、単なる科学に興味を持った話だと思ったら・・・。 なぜ主人公の一人の女子高生たちが
製作している天体望遠鏡が、「ナスミス式望遠鏡」だったのか・・・。 なんで、主人公たちの中学や高校
には、学年で男子生徒が一人しかいないのか・・・。 本の中に、答えがあるものもあるし、出ていないも
のもあったりして。 そもそも、主人公の一人の通っている高校(砂浦第三高校)は、5年前まで女子高
だったとあって、これは「茨城県の土浦か?」とピンときて、『謝辞』にも、多大なお力添えをいただいた
方々の中に「茨城県立土浦第三高等学校 岡村典夫先生と科学部の皆さま」とあるし。 しかしですよ、
インターネットに『車いすの仲間と一緒に星空を見たい』 女子高生が自らかなえた夢 水戸第二高校
地学部 という記事を見つけてしまいました。 水戸二高は、1900年創立の、県内で一番古い高等女学校
が前身で、今でも在校生は、例年基本的に全員が女子。 以前から、手作り望遠鏡製作が有名で、現在は
「スーパーサイエンス・ハイスクール」に指定されているのだとか。 ちなみに、土浦二高は、1903年設立
の県内で二番目に古い高等女学校が前身ですが、30年くらい前に男女共学になって、現在の男女の割合は
あまり変わらないようです。 『謝辞』の最後に、「作中における現実との相違点、誤りがある場合、
意図したものも意図していないものも、その責任はすべて著者にあります。」と。 なんか、深月さん の
「え、へへへへ」的な笑顔も、見えてくるような。 あまりに良かったので、別の作品を読んで、少しガッ
カリするのはちょっと嫌だなぁとの思いもあり、「かがみの孤城」を読もうかどうしようか、迷い中です。
◯ 『いつか、無重力の宙で』 「知識も資金もなく 宇宙への道は遠い」 NHK・夜ドラ
先週から月~木の夜10時45分から15分間やっているドラマです。 「この夏の・・・」の女子高生
たちが、30代になった今どうしているのか。と繋がっているようなお話。(平凡な人生を生きている30
代の、高校の天文部で語り合っていた宇宙への夢に再び向き合い、二度目の青春を進み始める様子を通じて
喜びと葛藤を描く[番組紹介より]。) 主人公の親友が、宇宙飛行士試験を受けるための健康診断で、
ガンが見つかり・・・。 カメラを積んだ『超小型の人工衛星』の打ち上げを目指すことに。 お話の中
では、製作に3年。費用は1,000万円。 夢を買うのには、安いのか? 高いのか? 主人公を演じて
いる 木竜麻生(まい) さんが、まじめなお人好しの30代OLさんの感じを上手く演じています。 木竜
さんの表現によれば、『ルーズボールを愚直に拾い続ける人』。 上手いこと言うなぁ。 サラリーマン
時代、上司によく言われたのは、『いい人は出世しないよ。』 あれは富太郎に向けてだったのか、自分自
身に向けてだったのか・・・。 このドラマは、現代と高校時代が行ったり来たりするのですが、高校時代
彼女たちが事あるごとに歌っていたのが♪「・・今日 人類が初めて 木星に着いたよぉ 着いた---」
(”たま”というグループでヒットした。) でも、「この夏の・・・」の森村先生の説明によれば、「どの
みち木星に降り立つのは無理だよ。 太陽系の木星より先の惑星は、だいたいガスだから」(P340)
「へ!?」って、本の登場人物たちと、同じ反応をしてしまいました。
◯ 星の王子さま 「おとなは、だれも、はじめは子どもだった。 しかし、そのことを忘れずにいる
おとなは、いくらもいない」 サン・テグジュペリ 内藤 濯(あろう)翻訳
40年くらい前20代の頃に、新宿のコマ劇場の地下にあった『シアター・アプル』で「星の王子さま」
の舞台を観ました。 王子さま役は 吉田日出子 さん、飛行士役は 加藤健一 さん。 一緒に観に行ったのは
いつもの ヤダちゃん と、(無理を言って付き合ってもらった)オガワさんご夫婦。 オガワさんの奥さまは
ご懐妊中だったのですが、幕間に奥さまがロビーに出たら、当時はまだ喫煙が許されていて、「男性は気を
使ってくれたけど、女性は平気で・・・」とすぐに席に戻られました。 まあ、人によるとは思いますが、
『本当のことは、目には見えない。』とは言うけれど、目に見えちゃうことも有るのだよなぁと・・・。
物語の最後で、星に帰る王子さまが、淋しがる飛行士に言います。 『僕は自分の星に帰るのだから、
君は夜空を見上げて、その星のどれかの上で、僕が笑っていると想像すれば良い。 そうすれば、星全部が
笑っているように見えるはずだから。」 ♪「・・・泣き顔を見せたくないから 星空見つめてて
Stardust Memory 忘れないでいて 星屑が 舞い降りてくる この夜を 」
ペナントレースも終盤となり、四球連発、バント失敗、
タイムリーエラーのたびに、阿部監督の「あきれ顔」
が気になって仕方のない 富太郎
選手が委縮してしまっているように見えるのは、
気のせい?
(「40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て。」と
言ったのは、リンカーンだったでしょうか。
♪「・・すぐ顔に出ちゃう ダメな性格・・」と
歌ったのは、間違いなくキョンキョンです。
松井の「長嶋監督との約束がある。」発言以降、
心中穏やかじゃないのは、わかりますが・・・。
かく言う富太郎も、若い頃から「顔に出る」と
言われ続けてきました(自覚あり)。
最近は、顔だけではなく、言葉に出ちゃうことも。
反省。)

フォト/ 『この夏の星を見る』 角川書店
「単行本」。 実は、文庫も出ているのだけれど、
上・下巻に分かれていて、値段は、数十円だけ
単行本のほうが高いのですが、富太郎には
『字が大きい』のが大変ありがたい。
一方奥は、単行本は『重い』からと・・・。
あなたは「どっち」派?